カレーと言ったらインド。ですがいきなりインドから日本にカレーが伝わってきたわけではありません。
そこには「インド」→「イギリス」→「日本」という流れがあります。当時のインドはイギリスに統治されていたので、もともとカレーは”イギリス料理”として日本に伝わってきたんです。
今ではすっかり日本の家庭料理に定着したカレー。そんなカレーがどうやって日本に伝わってきたのかを見てみましょう。
インドにはカレーという名前の食べ物は存在しない
驚くことに、実はインドには「カレー」と呼ばれる名前の料理は存在しません。日本でもよく「インドカレー」って呼ぶことがありますが、正確には「カリ料理」という言葉を使います。
カリというのはインドで使われていた調理法、または料理の具である肉や野菜を指すと言われています。
これがいわゆる”カレー”の原点となってるんです。
それではここで、インドで作られていたカリ料理の調理の流れをちょっと見てみましょう。
カリ料理の調理の流れ
- 深い鍋に油を入れて食材(肉、魚、野菜など)を炒める
- すりおろしたニンニクを加える
- スライスした玉ねぎを加えさらに炒める
- スパイス(タイム、ターメリック)で味を整える
- トマトを加えて水分が飛ぶまでじっくり煮込む
調理手順だけ見ると確かにカレーですよね。ちなみに牛を入れたら「ビーフカリ」、鶏を入れたら「チキンカリ」と呼ばます。香辛料を多く使ったインドらしい料理です。
また、カリを食べる時は「お米」が欠かせません。この段階ですでにご飯にかけて食べるというカレーらしい形が完成されています。
イギリスで初めてカレー粉が作られた
インドで作られるカリ料理は、スパイスの効いた肉野菜のスープをご飯にかけてた料理。それを今のカレーにするまでにはイギリスが大きく影響しています。
インドからカリ料理が伝えられたイギリスでしたが、当時のイギリスはインドのように上手くスパイスを使いこなすことが出来ませんでした。そのため一般家庭でも使えるようにと、あらかじめスパイスを調合した「カレー粉」を商品化して売り出しました。
本来のカリ料理と比べると、カレー粉はイギリス風にアレンジされています。イギリスが今のカレーを広めたと言っても過言ではありません。
イギリスの「クロス・アンド・ブラックウェル」社
カレー粉を商品化したのは、1706年に創業された「クロス・アンド・ブラックウェル(C&B)」という会社です。もともとスープを扱う店だったのが、保存食や調味料も手掛けるようになりました。(現在はアメリカの会社の傘下)
ちなみに、日本でカレー粉と言ったら「S&Bの赤缶カレー粉」。これが1923年に日本で作られた初のカレー粉です。市販のカレールーよりもスパイスがの効いた本格カレーが作れますよ。
カレーのとろみはフランス料理のテイスト
カレー粉はイギリスで作られましたが、日本にここまで普及したのにはさらなる独自の発展がありあます。それが「カレールー」です。
ルー(roux)というのはフランス料理のソースで、小麦粉でとろみを出したもののこと。日本はイギリスから伝わったカレーにフランス料理のテイストを取り入れ、小麦粉でカレーにとろみをつける調理をするようになったんです。
今では固形のカレールーが一般家庭に浸透してますね。
今の日本で食べられているカレーは、イギリスで発明された「カレー粉」とフランス料理のテイストを組み合わせたものなんです。